ファイト・クラブを読みおえた晩に観た夢


ぼくがぼーっと立っているとしよう。
するとどこからかフレンドリーに企業の顔を隠したキャラクターが声をかけてくるわけだ。「おい君、剣をとってドラゴンを狩ってみないか?」と。

なんだか面白そうだし友好的な態度だったのでぼくはそのキャラクターが渡してきた、質感がよくできているプラスチックの剣を受け取る。
質感のよくできた森林のセットの中を歩いているとご丁寧に地図にはドラゴンの場所が表示されているので、
向かって歩くとこれまた質感がよくできたプラスチック製のロボットのドラゴンが決められたルートを歩いている。
僕はあいつを狩らなきゃいけないのでプラスチックの剣をバシバシ叩きつけるとしまいにはドラゴンは倒れる。

殺したドラゴンから鎧を作るとなんだか兜や篭手なんかを作って一揃えにしたい気分になってきて、
またプラスチックでできた森に行く。

プラスチックドラゴン狩りに疲れてきて休んでいると今度はちょっとエッチな格好をしたお姉さんに
「世界を救うのに選ばれたのはあなたです」
と声をかけられる。
なるほど、世界を救うのも悪くないだろうもついていくと
コマンドボタンをクリックして毎日のように書き割りの敵を倒し続ける作業が始まる。
しばらくするとキラキラした石が溜まってきて、これはどう使うのかとお姉さんに聞くと
「10連を回してみましょう」
と言われたのでそのとおりにする。
ちょっとエッチな格好のお姉さんが増える。繰り返し。

こうして生活がデイリーミッションに費やされていく。

ゲームデザイナーが言う感動を人に届けたいという思いは視点を変えてみると
必要のないものを気がついたら遊んでいるような感じがするし、
こういうことは多分これまでは娯楽について言われてきたんじゃなかろうかと思う。

少しひねた人がじゃあ今までの構造をメタにしてちょっとメッセージ性を高めてやろうとなると
「うるせえ、娯楽は娯楽だし貴様らにとっては人生かもしれんがおれにとっては遊びなんだ」
「今までので十分楽しいだろうが」
となったりする。