東大なんか入らなきゃよかった 感想

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東大なんか入らなきゃよかった、という本を読んだ。

東大農学部を中退した筆者が東大に入ってから苦労した、もしくは入学したときに描いていた将来像と違ったという卒業生へのインタビューが内容のほとんどを占める本だ。

東大なんか、とタイトルにあるが東大だから学力差や能力の差が顕著に現れているだけで、おそらく結構な大学で全然起こっているだろうことであまり東大特有の問題という感じはしなかった。

だが「東大生」と聞くと多くの人が思い描くように、勉強ができる、能力が高いという色眼鏡をかけて見られるわけでそこに東大なんか、というタイトルがあるのかもしれない。

この本の二部には色んな人が出てくる。

やりたいことが見つからずとりあえずで就職した銀行マン、能力が高いが故に酷使される官僚、地方に就職したらいじめられた公務員、指導教官と関係がうまく行かなかった博士課程学生、年収230万円でネコと暮らす警備員、などだ。

この人だけほかのインタビューと毛色が違うな、と思ったのは警備員の人だ。

他のインタビューの人間関係のうまく行かなさや東大卒であることのプライドから開放されているように感じた。

東大プア、なんて見出しがついているが全然不幸せな感じがしない。文学的な感じでもある。

警備員をしながら自炊で生活費を浮かしつつ猫と暮らし、たまに知り合いに頼まれてイラスト、カットを描くという生活をしているらしい。

その人は年収230万でもお金のかからない生活をしている。趣味ということで図書館で本を借りて読んだり、食費も学生時代に読んだ本で学んだらしい。

そもそも卒業後に就職活動をせず、漫画で食っていこうと歴史の資料集を大量に借りて片っ端から模写し、しばらくは漫画を書いていたが体を壊して医療費に困って警備員になったとのことだ。

夜酒がやめられなくて「吾輩は猫である」の猫の最期のように水にはまって、それで人生終わりでいいんじゃないかな、とのことだ。

新卒採用のシステムに従いたくなかった、ともインタビューで語っており、大学人という感じだった。