「映画ジョジョ」は「父」と「罪」の物語である

「実写ジョジョ」こと「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」を観てきました。

杜王町のロケ地宮城県じゃねえのかよwwww」とか「仗助の髪型やべえwwwwww」とか言われてたりもしましたが思ったよりも良かったです。

原作通りに喋るセリフがかえって芝居上テンポが悪く見えるレベルで良かったです。

派手なアクションシーンがあるわけでも無ければCGがものすごいわけでも、感動するようなシーンが有るわけでもないのでものすごい売れることはないだろうな、と言う感じですが。

予告でのスタンドの描写が良かったので「骨は拾ってやる」程度で観に行きましたが真に優れているのは週刊連載と映画のメディアの違いを意識した脚本の書き換えではないでしょうか。

原作では当初吉良吉影の登場ついてあまり深くは考えてなかったのか、魅力的なキャラクターを多く登場させることによって杜王町という舞台を掘り下げることに専念しています。

そして、満を持して吉良を街の敵として登場させています。

しかし映画で登場人物をたくさん出し、まとめるのは無理です。そこで1章は片桐安十郎、虹村形兆、そして東方仗助に絞り、街の敵として「吉良吉影」を配置するのです。

◆それぞれの「父」との関係について

片桐安十郎ことアンジェロの父親はアンジェロ自身によって殺されています。原作通り、連続殺人犯で、映画序盤で東方良平に逮捕されます。

虹村形兆の父親は、映画での説明はありませんがDIOの肉の芽によって化け物となっています。父親を殺すために弓と矢を使っているのも原作同様です。

東方仗助の父親はジョセフ・ジョースターです。しかし映画では承太郎との電話相手としか登場しません。そのため同居している祖父、東方良平に父としての描写が割かれています。

映画の序盤で「街を守る」ために出世をせず交番勤務をし、ガラの悪い若者の面倒をみたりと住民に親しまれている様子が描かれます。ちなみに吉良の事件についてもここで触れられます。

◆「罪」について

アンジェロに罪があることはモチロンですが形兆にも罪があります。父を死なせてやりたいからとはいえ人を殺したからです。セリフでも俺はやり直せない、魂が汚れてしまったからだ的なことを言っていた気もします。

しかし、仗助だけは違います。実は原作の主人公の中でも彼だけ敵を殺していません。

アンジェロを殺すことなく岩にするという形で裁き、形兆も億泰も気を失わせるのみです。

そこで「人を殺す」ことでしか救われず、「父親も原作で登場する」吉良吉影が登場するはずです。どのような描写がされるか楽しみです。