狂想曲

書いた当時の現職でいろいろなことがあったので休職を考えている。未来へのタイムカプセルだ。

休みたいのだが頭が常にバチバチと火花をちらしていて物事について分析したくなっているのでつらつら書いていく。
他のものを分析していると自分自身から目をそらせるので。

以下からはフィクションである。

映像制作会社。築20年はくだらない外装レンガ張り自社ビル。内装は大理石。
敷地はだいたいオフィス机の島が3つぶんくらいだろうか。
入っているテナントは自社以外はせいぜい個人事務所くらい。
10年は前の着ぐるみやクリスマスツリーが飾られるエントランス。受付はいない。

外階段には喫煙者たちがたむろしている。分煙?クソくらえだ。

タバコの匂いをさせながら話すスタッフたちの意識は低いように見える。
納期が迫っている。監督の指定はちぐはぐだ。
演出コンセプトはぜんぜんまとまらないし外注から受け取ったファイルのフォーマットを揃えるのにも苦労する。
あの制作は使えない。すみませんあの機材ってどこにありますか?あいつが持ってるはずだからあいつに聞いてくれ。わかりました。たまに内線が鳴る。誰も出ない。
仕方なく社内調整がすばらしい情シスのスタッフが手に取る。

土曜日に会社に来るとちらほら人がいる。だがタイムカードは切っていないらしい。曰く、研究や実験だから工数に含められないしね…。狂っている。
週毎にアサインが変わる。作業手順はめちゃくちゃだ。ひどいと毎日スタッフの取り合いが起きる。
デスクはフィギュアやカップラーメンの空き容器が並んでいる。コピー機の上には名前も知らないアニメの絵コンテ。

だが彼らは手を動かす。文句を言いながらも。血反吐を吐きながら退職しながらも。
着古しのTシャツ、社内用スリッパ。ガレージに停めてあるへこんだ紺の日産キャラバンとシティサイクル
仕事だからしゃあないので映像を作る。給料は安くても。(ここまでする理由はぼくにはわからないが)


ベンチャーゲーム会社。
シェアオフィスあるいは間借りした巨大なオフィス。
ガラス張りの分煙スペース。ガラス張りの外装。
サッカーができそうなほど広いエントランス。凛とした受付スタッフ。

社内プレゼン。未来の構想。
写真素材サイトから持ってきた外国人男性の写真。

ユーザーをどう誘導するか。利益をどのように出していくか。投資家への説明責任と資金調達。
空転するようなユーザー体験と新技術。

昨日の進捗はいかがか。サー、不具合修正と新機能実装であります。
今日の作業予定はいかがか。新機能実装であります。スケジュールは常に遅れているであります。

出資者からの質問。大人気最新映画のようなエフェクトをつけられないか。
Slackのパブリックチャンネル。雑談チャンネルの話題。
最新技術、最新の漫画、話題のツイート、ネットミームGIFのスタンプ。

彼らはコンセプトを語り、方針をまず決めて作業をする。行きあたりばったりは存在しない。
適度な運動をした肉体と流行りのナイキのスニーカーシューズ。タクシー、電車通勤。


前者は最新の技術の無さをどうにか形にまとめる。
睡眠不足の職人が愚痴と文句を載せて作った映像カットたちを睡眠不足の制作進行がマスターデータの入ったハードディスクドライブにまとめる。
納品したら社内で上映してああなんとか終わったなあ。おつかれさま。されることない反省とフィードバック。
無難な表現。組み合わせの技術。


後者はたくさんの実装作業者がつぎはぎしてなんとか形にできた代物を
体の良い理想のコンセプトのメッキで塗りたくり、ユーザーに出す。
ユーザーからのフィードバック。こうすればよかったという分析。
なんとか修正しながら再度出す。継ぎ足される実装。
発表されるカバーストーリー。

ポストモーテムとフィードバック。分析。空転する文章のまとめ。
撤退ではなくて転進。中身のないバズワード

組み合わせの技術。カオスな中身。既視感のある表現。