もうすぐ鬱なる日なり

大和人には悪しき慣らひあり。

其れは外国の文化すみやかに取り入れたるにころなり

そらそらをみなは男に洋菓子渡すにいふ行事ある。

洋菓子交換してかしに楽しかるや。

恋人有らぬ男性鬱になるのみならむ。

我にはつゆ分からず。

我かくのごとき考へになることもし酔ふかしど有りのなり。

我は義理含まれても親族以外より一度も其の洋菓子貰ひしことなし。

恋人の有る男は死ぬればよかるなり。

義理または本命貰ひし男も同じなり。

をみなは男かほにてことわるぞゆえに我には一期貰ふことはせられざるならむ。

我は結婚もせられずあらむ。

嗚呼、かくのごとき悪布き慣らひは失せよかしば有りのなり。

小野小町はうるはしかるなりし。

会ひてみたかるかし。

――――戸井目 安 『如月十四日には鬱なり』

※此の古文はまことにはありはべらず

戸井目 安

TOIME AN

MOTENAI